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その時、名前を呼ぶ声がした。
恐らくここは2階であろう。扉を挟んでいても、やや下の方から聞こえた気がする。
柔らかい声だった。
「あ、飯持って来てやるからちょっと待ってな!」
声に大声で返事をした後、そう言って隼人は出て行った。
部屋が急に暗くなったように感じた。
青年は隼人が出て行ったドアの方を数秒見つめると、枕元にあったピンクの水筒を持ち、ベッドから立ち上がる。そして足の踏み場もないくらいの部屋を、反対側の机までなんとか歩を進める。
机の上は床以上に物が散乱していたが、山積みの本や紙類からペンと白い紙を探す。
ペンはすぐに見つかるが、紙はどれも余白いっぱいまで書き込みがしてあり、書けそうな所があるものがなかなか無い。やっとの事で、白い固めの紙を引っ張り出した。
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