†真実†

21/32
前へ
/613ページ
次へ
「神は運命を…書き換え、弥生が…命を落とすシナリオを…創った。 それを見た…時に、さ。 何だか………すごい喪失感に…駆られちまって。 つい。盗んじまった………」 「あんた。"つい"って………」 呆れた声を出すミカエルを気にせず、海は重たい手を持ち上げて前に翳すと、"ボックス"と唱えた。 目の前に空間の裂け目が現れ、黒い大きな物体が真っ直ぐ、投げ出された海の両足の上におちる。 それがとてつもなく分厚いこと、そして重たいことをすっかり忘れていた。それが落ちてきた衝撃が痛みとなり、脳を激しく刺激する。 「これが………欲しかったんだろ?」 これは、何も知らない黒崎 海が……… 図書館から借りだしてきたと勘違いした物だ。 黒崎 海が初めてボックスの魔法を成功させた時、中身を確認しなかったのも勘違いの大きな原因だ。 ………これは、"最初から入っていた"のだから。 ルシファーが、人間界へと降り立つ時の唯一の持ち物として、そこに保管されていたものだ。 「お前が…人間界まで、わざわざ………俺を追いかけて来たのは…………… これが目的だろ………? 持ってく…か………? と言っても…お前は本気で………手にしようとは………しなかったな。 その上これが…何か知った今………。 大人しく神に…返すとも、思えない…けどな」
/613ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2108人が本棚に入れています
本棚に追加