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私は出産ぎりぎりまで店にでることにした
毎月の検診で私は、画像に映る我が子を楽しみに見ていた
その帰りは必ずママに会い、写真を見せた
春がきて、桜が満開になるころ、私達のマンションにはベビー用具が全部揃った
お腹は大きくなり、先にお母さんになったアンさんが、よく遊びにきてくれた
8月に入り、予定日より一週間早く陣痛がきた
慎吾さんが分娩室に立ち会ってくれた
痛みで気が遠くなる私に何度も話し掛け、助けてくれた
神様の声?そんな声が聞こえた
クラリス、今度はお前がこの子を守る番なのだよ
痛みが走り私は叫んだ
気がつくと私の隣に赤ちゃんがいた
『色羽、元気な女の子だよ。ありがとう、頑張ってくれて』と慎吾が呟いた
よかった…私でも赤ちゃんが産めたんだ…しかも自然分娩で
出産後、私は少し体調を崩し、普通より長い入院になった
でもお乳はたくさん出て、この子のお腹を満たす
一ヶ月後、私は久しぶりにマンションにもどった
赤ちゃんの名前は『羽香(はねか)』私から一文字取ったと慎吾さんは言った
彼の先輩方にもたくさんお祝いをもらった
パパは週に一回羽香の顔を見に来る
私は子育てしながら、勉強を続け、やっと二次試験を合格することができた
会社は店舗から、インテリア部にまた戻った
一歳が過ぎるまで、昼間はママが見に来てくれる
いろんな人に助けてもらって、私達は生活が成り立っていた
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