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「総ちゃん。……私の大切な総ちゃん。」
栗色の腰まで伸びた髪をした女が赤い着物を揺らし、桜の木の下で僕を呼ぶ。
誰かなんて知らない。
だって、遠くて顔が見えないから。……ただ一つだけ分かることがある。それは彼女は僕の大切な人なんだろうということ。
「ほら、総ちゃん?」
彼女の声を聞くだけで落ち着くことが出きる。
…ねぇ?君は誰??
僕は誰を忘れてるの??
彼女を見ていると涙が出てきて、抱き締めて欲しくなって彼女に近づく為に僕は走りだす。
すると、そんな俺を嘲笑うかのように女は口を歪ませて笑う。そして、彼女は頭から大量の血が流れて地面に血溜まりが出きたと思ったら彼女は血に引き込まれて行く。
「……総ちゃん…総ちゃん……これは全て総ちゃんのせいなのよ?総ちゃんが化物だから。なのにどうして?どうして忘れるの??」
僕は…大切なことを忘れてる。
ボクハダレ?
ナニヲワスレテル??
ワカラナイ、ワカラナイ……
気がついたら彼女は居なくなり辺り一面、血と屍……そして、真っ赤に染まった桜だけが僕を埋め尽くしていた。
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