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「命がそんなに大切なら始めから刀を持つんじゃねぇ。覚悟がない奴が刀を振り回した所で人も自分も傷つけるだけだ。」
そう冷たく言い放つとゆっくりと刀を上に上げて真下に降り下ろした。溢れ出る帰り血を浴びる土方はまるで鬼のよう。
そんな考えを頭の片隅で浮かべながら横目で土方を見る。それでも総司は避けながら刀で的確に相手の急所を刺していく。
――ばぁん
そんな渇いた音が夜の町に響いた。音のした方を総司はゆっくりと見ると残り一人の武士が銃を空に威嚇発射している。
「わぁー…、飛び道具が出てくるなんてちょっとビックリ。」
驚いている割には表情を少しも崩さずにニコニコしている。
総司とは正反対に土方は短く舌打ちをし、眉間に皺を寄せる。
男はそんな二人に怯えながらも銃口を向け、後退りながら逃げる準備をする。
どう見てもこの男は人を撃つ度胸なんてない。それがつまんなかったからなのか、総司は決して表情を崩さずに男に挑発をする。
「撃たないの?…やっぱり君って意気地なしだね?つまんない、つまんない。弱い奴に興味なんてないよ。」
その言葉は男を逆襲させるには十分過ぎる程の威力があった。五月蝿と大声で叫び銃を総司に向かって撃った。
その瞬間今まで一番不適な笑みを見せると刀に手を掛けてゆっくりと目を瞑る。
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