第一章-新撰組-

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「じゃぁね??」 総司は喉仏にあった刀を額につけて、そのまま突き刺した。 元、人間だったその男は瞳孔が開き、眼球が飛び出しそうな程に目を見開いて死んでいる。 あまりに悲惨な惨劇だからか、周りからは叫び声や嘔吐をする者、子供の泣き声、罵声が聞こえてくる。 『最低。』    『人殺し。』  『感情ないのかしら。』        『可哀想』 「悪魔!!お前らなんて死んでしまえ!!」 「春!!!やめなさい!!」 まだ、10歳くらいの少女が新撰組に向かって泣きながら怒る。無表情に殺していく、彼らを少女は許せなかったんだろう。 そんな少女を母親らしき女性が必死にとめている。総司はその少女を見ると少し口角を上げてゆっくりと近付く。母親はそれに気がつくと泣きながら謝罪している。 「すみません。すみません。 …この子は悪くないです!! どうか、許して下さいッ!!」 少女は体が震え、怯えながらも真っ直ぐに見つめている。 「あぁー…、もぅ。その真っ直ぐな瞳…苛々するなぁー。」 総司はそんな少女を無表情で見てから誰にも聞こえないように呟いた。そして、少女の前に立つと一瞬不適に笑って……母親を切った。少女は零れ落ちるくらいに目を見開いている。 「お、かあ……さ、ん…?」 声は震えて、目には涙を溢れんばかりに溜め込んでいる。なのに、母親は指一つ動かない。 周りは息を飲み込む。 「お母さぁぁあーん!!!」 少女の悲痛な叫び声が木霊した。しかし、母親が返事を返してあげることはもうないだろう。 その一部始終を見ていた土方は眉間に眉を潜めて不快そうな顔をしている。 「おい、総司。関係のない人間を殺すなってあれ程言ったろ。……帰るぞ。」 周りの痛い視線を受けてなのか仲間を早く帰るように促し、総司にも早く来るように目線を送る。総司は土方を見ると笑って少し待ってと答えるとまた少女に向きなおる。 少女はただ呆然と母親の死体を見つめている。そんな少女に一番残酷な言葉を吐く。 周りからは髪で見えないが少女だけは見えた。 ――泣き笑いのような表情を浮かべて涙が一滴、少女の頬に落ちた。 総司は、羽織を翻しさっきの表情が嘘かのように恐ろしい程の笑顔で颯爽と土方達と夜の闇に消えていった。 『…殺したのは僕じゃない。君だよ??僕が憎ければいつか殺しにおいで。』
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