第一章-新撰組-

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少女の溜まっていた涙は零れ出した。 母親を失ったことの悲しみか。総司の放った言葉にか。 ――それとも、あの泣き笑いのような表情を見たからなのか。 ただ、単純に苦しくて悲しくて訳も分からずに泣き続けた。 総司の残した一言は本当に少女に言った言葉なんだろうか?? そのことを頭で考えながら。 江戸時代後期――。 沢山の腕のたつ浪人が集められて出きた幕府の護衛部隊。 それが新撰組。 そう、誰かが言っていた。 新撰組は哀しみを持つ人達の 集団だって。 そんな様子を見ていたのは二人の男女。 女は栗色の髪に白い肌、大きな赤い瞳を持つ美女。 ただ、誰かに似ている。 ――そう、沖田総司に瓜二つなこの女。 男は。金髪の長い前髪を二つに分けて後ろ髪は襟足まで。 紫色の瞳に整った顔だちをしている。 女は憎しみの隠った目で 男は嬉しそうな目で 現場をずっと見ていた。 「みーつけた。凄く美味しそうに育ったんだね。」 男は舌舐めずりをして小動物を狙う狼のように総司を見ていた。 「お前も会えてよかったじゃないか。」 そうやって笑顔で女を見る。 女は男を横目で見て、そうねっと一言答える。 「……いつか迎えに行くよ。」 そんな意味深な一言を残して消えていった。
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