12人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいからあと七回かけ直せよ」
慎は不思議に思いながらも、再び電話をかけた。
七回目・・・
──やっぱりだ。先ほどと同じように、電話の奥で何かが聞こえる。その音は、先ほどよりもほんの少しだけ大きくなったように感じられた。
「おい! 守、やっぱり何か聞こえるぞ」
「何だよ? さっきから?」
守は慎の手から携帯を受け取ると、再び携帯を耳に当てた。
「だから切るなっていってんだろ」
「なっ・・?」
慎は守の手から携帯を取り上げ自分の耳に当てた。
──電話はまた切れていた。
「どうして勝手に切れるんだ?」
慎は不思議に思いながらも作業を続けた。
八回目・・・
九回目・・・
十回目・・・
──音の正体が分かった。電話の音だ。繰り返される音声の奥のほうで、電話がなっている。
「お客様のおかけになった・・・
番号をお確かめになって・・・
もう一度おかけ直し下さい」
最初のコメントを投稿しよう!