侵略者

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「お待ちしていましたよ、エルテリア殿下」  研究施設に入ると、黒髪を短く切り揃えた、白衣を着た優しそうな中年男性が両手を広げて、笑顔でベルフェとシグレを迎えた。 「早速本題だ、サハル・リバイバル。オレをここに呼んだ理由を話してもらおう」 「せっかちですね、エルテリア殿下は。まあ、私としても話が進みやすいので助かりますが。では、ついてきてください」  サハル・リバイバルと呼ばれた男性は、白衣を翻して施設の奥へと向かう。  ベルフェとシグレは、その後をゆっくり着いていく。 「では、着くまでにいくつか説明をしておきましょう」  サハルは歩きながら2人に説明を始める。 「まず、昨夜に赤い流星がここから南方に行った、レパータ区域に落ちた事から始まります」 (赤い流星だと……?)  ベルフェは、昨夜自分が見た一瞬だけ赤く光った月を思い出す。 (やはり、あれは気のせいではなかったのか……) 「それを聞いた私は、部下をレパータ区域へと調査のために送りました。そして、その部下からの報告に私は驚きました。部下からの報告はこうです。“赤い流星が落ちた地点には隕石はなく、巨大な人型の何かがある”と」 「巨大な人型の何か?」  ベルフェの代わりにシグレが尋ねる。 「そうです。そして私は、人型の何かを施設へと運ぶように部下に指示しました。ここまで話せば、察しのいいお二方ならお分かりになりますね? 私が見せたい物、それが――」
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