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「ゼロには、戦闘の形跡があります。そして、空から降ってきた。もしかしたら、未知の敵との戦闘があるかもしれません」
サハルが神妙な面もちで、自分を睨みつける2人を見据えると、3人の間には重苦しい空気が流れ始める。
「…………わ――」
「……ベルフェ……」
沈黙を破り、ベルフェが言葉を発しようとすると、抑揚の無い平淡な声が遮った。
若干、頭を抱えながら、ベルフェは声がした方を振り向いた。
そこには、腰まである綺麗な黒髪の少女が、闇のように暗い双眼でベルフェを見上げていた。
少女は白いワンピースの上から、ここの職員と同じ白衣を着ていた。
「なんだ? ユノア」
ユノアと呼ばれた少女は、自分の名前を呼ばれると、軽く手を上げた。
「……久しぶり……」
「落ち着いて下さい、王。ユノアはこういう性格でしょう」
先ほどよりも深く頭を抱えたベルフェに、シグレは声をかける。
「分かっている……分かっている……」
「……?……」
頭を抱え、必死に何かをこらえるベルフェを、ユノアは不思議な物を見るような目でベルフェを見上げる。
「王。ユノアの事は放っておいて、先ほど言いかけた事を」
「……ああ」
シグレに促され、ベルフェは顔を上げると話しはじめる。
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