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「……未知なる敵との戦闘があるかは定かではない。だが、用意するに越した事はないだろう。他国に情報が流れないように、秘密裏に開発を進めてくれ」
「許可いただきありがとうございます。では、私はこれで」
ベルフェに対して深く頭を下げると、白衣を翻してサハルは、研究員たちが集まっている場所へと向かった。
その様子をユノアとシグレは見送り、ベルフェはゼロを睨むように見上げ続ける。
(これが……災いを呼ばなければいいが……)
ベルフェがゼロから目を逸らした瞬間、世界自体が揺れているような地響きが起こり、収まった次の瞬間には、今度は研究施設自体が、確かに大きく揺れた。
ある者は振動に堪えられず大勢を崩し、床へと倒れ、またある者は必死に倒れまいと近くの機材を掴んでいる。
それは、ベルフェたちも例外ではない。
ベルフェは片膝を床につき、大勢が崩れないように支え、シグレはユノアを抱きかかえて、振動に合わせて体重を移動させて立っていた。
「いったいどうしたんだ!?」
部屋中に響き渡るような怒声をサハルは張り上げる。
「第4区画が破壊されました!! 生き残っている監視カメラの映像を出します!!」
部屋の中の一角にあるモニターに、監視カメラの映像が映し出される。
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