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ベルフェはゼロの足元に広がる悲惨な光景をジッと見据えた。
(……オレが遅れたせいでこんな事に……)
悔しそうに唇を噛みしめると、唇が切れたのか血が流れ始める。
「……シグレ! 皆を連れて別の道から行け!!」
「お、おう! 全員、俺について来るんだ!!」
身を翻して来た道を戻っていくシグレに、正気に戻った研究員たちは着いていく。
「行ったか……」
シグレたちの姿が見えなくなったのを確認すると、ベルフェは巨大ロボットに向き直る。
巨大ロボットは壊れた壁に手をかけ、地面に剣を突き立てて立ち上がろうとする。
「来るか……」
巨大ロボットが立ち上がり、2体のロボットは初めて対峙した。
大きさはゼロよりも相手の方が大きく、武器も持っているが、ゼロはそれを凌駕するような異様な雰囲気を漂わせていた。
戦闘に慣れていないベルフェは、空間に漂う張り詰めた空気に圧され、無意識の内にわずかに重心を移動させ、後ろに後ずさった。
その瞬間、後ろに重心が移動したのを見逃さなかったロボットは、ゼロへと飛び出して剣を振るった。
「くっ!!」
無意識のうちに重心を移動させていたため、ベルフェはその事に気づかず、重心を移動させ過ぎて後ろへと倒れ込んだ。
だが、それが幸運だったのか、剣はゼロの頭部スレスレを通り過ぎて行った。
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