崩れ去る平穏

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「助かったか……」  安堵をするが、通り過ぎた剣は方向を変え、再びゼロへと迫る。 「死ぬわけには……いかん……!! でぁぁぁぁ!!」  両腕で跳ね上がるようにゼロは飛び起き、ロボットへと腕を前の方でクロスさせて突っ込んだ。  ゼロの行動に対し、ロボットは剣を離し、勢いを残したままゼロを殴る事に切り替えた。  ロボットの拳はゼロの頭部を捉え、金属が軋む音がベルフェの耳に聞こえた。 「ぬ……がっ……!!」  殴られ、地面にゼロが叩きつけられると、ベルフェの体を鈍い痛みが駆け抜けた。  首筋と頬には殴られた瞬間に衝撃と鈍い痛みが走り、背には叩きつけられた衝撃が襲いかかった。 「ぐ……」  痛みに呻きながらも体を起こすと、剣を拾い直したロボットがゼロへと切っ先を向けて立っていた。 「……なんで、動くの? あなたは、誰?」  ロボットからは外部音声で、通路の中に凛と透き通った女性の声が響いた。  女性の声は、ベルフェから返答が得られないと分かると、話を続ける。
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