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(なんだ?)
ベルフェは、夜空に輝く月にどこか違和感を感じ、目を細める。
「どうした?」
その様子を訝しく思ったのか、シグレは警戒した顔でベルフェに問いかける。
「いや、なんでもない。気のせいだ」
額に手を当て首を数回振ると、ベルフェはもう一度、月を見上げる。
(一瞬、月が赤く光った気がしたが気のせいだったか……)
シグレは、月を見上げるベルフェの横顔に、一抹の不安を感じながらも、自分の責務を果たすことに決めた。
「そろそろ部屋に戻れ。風邪を引かれたら困るからな」
「ああ、分かった」
ベルフェは月を見上げるのを止めると、ゆっくりと身を翻して部屋の中へと歩いていく。
(月、か……)
月が照らす夜の闇。
その中に拭い去れない不安や危機感を感じながらも、シグレは部屋の中に入っていった。
そして、2人は気づく事がなかった。
月から、赤く輝きを放つ一筋の流星が現れた事を……。
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