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「なら、そんなに怯えるな。別に取って喰おうなんて考えていない」
この言葉をどう捉えたのかは知らないが、女性の顔はみるみるうちに真っ赤になっていった。
「た、食べられちゃうんですか、私!? ……で、ですが、エルテリア様が望むのなら……」
早とちりをして1人で暴走する女性を見て、ベルフェはまた呆れたように笑った。
「え? あれ? もしかして……」
ようやく自分の早とちりだと気づいた女性は、先ほどよりもずっと赤くなってしまった。
「面白いヤツだ。名はなんという?」
「え、えと……フェイミ……です……」
フェイミと名乗った女性は赤い顔で俯いたまま、ゆっくりと答えた。
「フェイミ、か。フルネームは?」
「フェイミ・デュアン……です……」
フェイミは未だに俯いたままだ。
「フェイミ・デュアンか。見ない顔だが、新人か?」
ベルフェはそう言うと、食事を食べ始めた。
「はい……先週から、働き始めました……」
「先週からか。それなら、まだ下働きだろう? オレの世話役になるには早くないか?」
「え、えと……」
フェイミは言いにくそうに言葉を濁すと、空中に視線を漂わせる。
「言いにくい事なのか?」
ベルフェがそう言うと、フェイミはようやく口を開いた。
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