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「大丈夫か?」
声をかけても反応が返ってこないフェイミに、ベルフェは本気で焦り始めた。
(大丈夫……ではないよな? いったい、どうすればいいんだ?)
ベルフェは、初めて陥る状況に困惑するあまり、自分がどうすべきかが分からずに固まってしまった。
(とりあえず、体を揺すってみるか)
「フェ――」
それは、フェイミを正気に戻すために体を揺すろうと思い、ベルフェがフェイミの肩に手を置いた瞬間に起こった。
「ひゃわー!!」
いきなり肩に手の感触を感じたフェイミは、涙を目に溜めながら大声を出した。
当然、そんな事を予想だにしていなかったベルフェは、体を強ばらせた。
「――ひゃわ……あれ?」
「正気に戻ったか?」
ベルフェの手は、既にフェイミの肩にはなく、大声から自分の耳を守るために、耳を塞いでいた。
「は、はい……」
取り乱してしまった事を恥じているのか、フェイミはベルフェの顔を見れずにいる。
「とりあえず、食事はもういい。下げてくれ」
「わ、分かりました」
フェイミはベルフェの横を素早く駆け抜けると、食事をトレイに手際よく乗せていく。
「し、失礼しました!!」
「ああ」
フェイミは、トレイが手から落ちないように頭を下げると、そそくさと部屋を出て行った。
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