今宵、月が見えずとも

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キィィィイッ...! 気付いた運転手が慌ててハンドルをきるのが見えた。 車は唐突な減速と共に反対車線まで蛇行し、幸いにも何一つともぶつからずに通常走行へ戻って行った。 「危ねえだろ、この馬鹿やろう!」 去り際に窓から顔を出した運転手が、そう叫んだようだ。 安堵色の沈黙が広がる前に、信号が青に変わった。 2人をちらちらと見ながら、人々は足早に対岸へ渡っていった。
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