羊飼いの少年と行き倒れの少女 ~またはとある勇者のプロローグ~

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この辺りは、夜になると多くの魔物が出てきて商人や旅人などを襲っている。 つい先日も一人旅をしていたであろう旅人が、襲われ殺されていた。 だから俺はどうしても日が沈む前に村には戻っておきたかったのだ。 だからと言って、家族であるも同然な羊たちやアルをほってはおけない。 何も出来ないままただ時間だけが過ぎていった。 しばらくすると、今まで少しずつだが進んでいた羊たちがピタリと止まった。 横でアルは低く唸っている。 この先に恐怖の対象となる何かがあるようだ。 俺はアルに羊たちを頼むと急ぎ足で先に進む。 まだ太陽は沈んでいないのにも関わらず辺りは妙に暗く感じられ、少し薄気味悪い。 俺は怖くなって軽く走った。
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