未必の故意

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とある公園での話しです 砂場で4~5人の子供達が砂山を作り遊んでいました。 みんな両手で砂をすくっては積み上げ、砂山は少しずつその高さを増して行きます。子供達は皆嬉々として砂山作りを楽しんでいました。 ふと傍らを見ると青ばなをたらし、見るからに頭の弱そうな男の子が砂山を作る子供達の輪から外れた所で、砂山作りの様子をじっと見いっています。 男の子はその子供達の輪の中に入れず、ただ指をくわえて楽しそうに遊ぶ子供達の様子を見ていたのです。 私はベンチから立ち上がり男の子のそばへ寄り男の子の正面に立ちました。 男の子は指を加えたまま私を見ました。 私は男の子を見下ろし、そして尋ねました。 「仲間に入りたいんだろう?」 男の子は暫くの思案の後、視線を子供達の輪へ戻すと首をたてに振りました。 私は男の子に近づき、そして耳元へ口を寄せ、こう囁いたのです。 「大きな声を出して、こうやって左手と右手をお空へ上げて思いっきり走っていきなさい、きっとみんな仲間に入れてくれるよ」 「さあ、みんなの所へ走っていくんだ」 ヽ(`Д´)ノ ウワァァイ!! 男の子は顔に満面の笑みを浮かべると、視線を子供達の輪に戻し、そして勢い良く走っていきました。 私はその様子を最後まで見届ける事なく、煙草を取り出し、火をつけながら公園を後にしました。
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