未必の故意

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数歩も歩かぬ内に子供達の黄色い片言の罵声が飛び交い、後ろを振り向かずとも砂場は大騒ぎになっている事がわかりました。 私は前だけを見てゆっくりと煙草の煙りをくゆらせながら歩きました。 子供達の黄色い罵声が交錯し、その言葉が次第に聞き取れなくなった距離まで来ると、程なく黄色い声の中にあの男の子の金切り声に近い鳴き声が私の耳を突き刺しました。 私は歩みを止め、振り返りたい衝動を断ち切るかの様に 「てやんでぇ」 と呟くと小走りにその場を離れました。 いや…… 逃げたのです
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