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彼は私を愛しているけど、私は彼を愛していない
彼は、私の弟である。
と言っても、誕生日が私の方が早かっただけなのだが。
「ねぇ、澄子。君は僕を愛していないかもしれないけど、僕は君を愛している。」
「はい?」
とうとう頭が沸いてしまったのか。そんな事を言った弟は、私の部屋に入ってきて、ベッドで寝転がっていた私にのしかかって来た。
「ちょっと重い!」
「澄子(スミコ)に拒否権はない。外堀から埋めて行ったから逃げる事も不可能。ただ、これからの行為で壊れて狂って、俺以外見えないようになって、俺だけの物になればいい」
「ひっ…!」
真っ黒で光なんてこれっぽっちも見えない目で見詰められれば、そこに恐怖しかない。
弟、千賀(チカ)は残忍にしか見えない笑顔で、私にキスをした。
最初に出会ったのは、親の再婚の時。
当時10歳だった私の目に映る千賀は、まるで天使のように見えた。
私を見るなり、ニッコリと微笑んで、「こんにちは」と挨拶してきたのだ。だから、人見知りをしない私は、千賀に好感を持って「こんにちは」と返した。
それを親は仲睦まじくほのぼのとみていただけだった。
千賀とはその当時仲は良かった。
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