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優しく私の頭を撫でる梓は、まるで芸術品でも見るかのようにうっとりとした目で私を見た。
「でも、いいや。小真が俺の腕の中に居るから。これからもずっと、小真には俺だけでいいだろ?」
梓の中に渦巻く狂気。この狂気に、梓はいつ溺れてしまったのだろうか。
言葉を失う私を梓は、まるで鳥かごに入れるかのような重たい束縛と独占欲で、がんじがらめにして、私をもう二度と逃がしてはくれない。
「小真、愛してる。だからお前も俺を愛せよ。」
「…梓…。」
「愛してる」その言葉を口にしなかったのは、最後の抵抗だ。
END.
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