彼氏はストーカー

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いつからか、一点だけを見るようになった。 接点はなかった。ただ、視界にたまたま入った仮沢秋という一人の人間が、なぜか妙に気になって仕方なかった。 綺麗とは違う。可愛いとも違う。その素朴な容姿に無邪気な、悪ガキみたいな笑顔が可愛いと思った。 秋は普通の女だ。普通なら俺のような完璧人間と持て囃されるような男と関わる事がないぐらいに。 だから、自分から関わっていくしか方法が見つからなかった。 それが、悲しい程の切なさと一方通行の想いを生むと知ってなお、秋を手に入れたかった。 なのに秋はそんな俺の気持ちを無視するかのような酷い言葉を吐いた。 「浮気するんなら別れて!」 付き合い出した放課後に女と歩いていれば、秋にそう言われた。隣を歩いていた女はニタリと口端をあげて笑った。 秋、違うんだこの女は秋をリンチしようとした女だ。と声を張り上げて言いたかった。だけど、そんな事言ってどうする。 そんな事言えば、俺と別れたいと泣き出す。秋はそういう奴だ。 まぁ、そんな事は関係なく別れる気はない。 この時を機に、秋は自分の部屋に監禁した。部屋、と秋は思っているようだが、高級マンションの一室というだけだ。
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