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ふーん、と完全に他人事な様子で雅也は煙草をくわえ、火を点ける。
その態度に、亜由子は少し苛立った。
「ちょっと、マサにだって責任なくない?」
「うん、大丈夫やろ」
「だから、ヤバイってさっきから……」
「この部屋、出たらええやん」
ふぅー、と煙を吐き出して、雅也はにこりと笑う。
「……は?」
「だから、お前この部屋出たらええやん。俺、ちゃんと面倒見たるから」
「ちょっと待ってや、マサ」
亜由子は困ったような顔をして、後退った。
「何で? 別にええやん。10年前やないんやから、お前ひとりぐらい、どうにでもなるで?」
雅也は離れようとする亜由子の腕を掴むと、勢いよく引いて自分の膝の上に座らせる。
昨夜久しぶりに嗅いだ雅也の匂いがして、亜由子は身体に力を入れられなくなってしまった。
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