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「待って、って! う、嬉しいけど、急にそんな……」
「こら」
雅也は亜由子の顎に触れ、自分の方に向かせる。
「俺の10年待った、にはそういう意味もあるんやで」
雅也の口唇が、にやりと笑いをかたどる。
──マサの言うこと、意味は判る。
けれど、あまりに突然過ぎて。
拒否する理由なんて、なさ過ぎて。
だってそれは、昔夢に描いたことでもあったから。
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