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一階の渡り廊下を走っている四人がいた。正確には逃げている一年生の少年を厳つい二年生が追いかけていたのだ。
一年生は、この高校に似つかわしくない、黒い髪に、若干垂れ目がちで、自信なさ気な顔をしていた。
それに対して三人はカラフルな頭に、痛々しくみえるピアスに、一年生を追い掛ける顔はとても生き生きとしていた。
「ひぃ~!こ、来ないでください~!」
今にも泣きそうな顔で三人につげる。
しかし、小学校低学年の頃からいじめっ子をしている三人は、弱いものいじめが大好きであった。
「あぁ、あの顔たまんネェ~!!」
「ギャハハハハ!やべぇーんだけど!もっと怖がれよ!ギャハハハ!!」
「ひぃ~~~!!」
少年は走る。
ひたすら走る。
ボロイ校舎を走り回る。歓迎会は、校庭で大々的に行っているのだが、ケンカする気のないものはぶっちゃけ、校舎内に残っているのだ。
勿論、少年も残っていた。しかし、校舎内にいる人=弱い という方程式により彼は三人組に追われているのだ。
そして、少年がどこかの教室に隠れようとして辺りを見回し、前方に見えた自分のクラスに人がいることに気がついた。教室にいるということは、ケンカする意志がないということ、つまり巻き込んでしまう。
急いで進路を変更しようとするが、曲がれるところなどなく一直線の廊下だ。
「お!あそこに一年がいるぞ!」
三人は、すばしっこくて捕まらない少年より弱そうな一年にターゲットを変えたのだ。
少年は、自分のせいだと思いクラスメートの顔を見た。
「…!?
……幹くん……。」
少し話したことがある程度だが、この学校で数少ない友とよべる存在だった。
他の人みたいに怖くないし、話しかけたら必ず答えてくれるのだ。そんな彼が傷つくのはいやだった。
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