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「むーむー」
なぜだ?
なぜ俺の前の席は空いているんだろう?
「むーむー、唸ってどうしたんだよ、ついにバカ過ぎて頭おかしくなったか?」
「なんだと!?」
この嫌みったらしい男は、
工藤 健太(クドウ ケンタ)
俺の幼なじみだ。自分だって馬鹿だからこんな学校にいるくせに、いつも俺の面倒を見ようとして弟あつかいするんだ。
因みに、小さい頃からケンケンと俺だけ呼んでる。
「 しねーー!! 」
ケンケンに勢いよく蹴りを打ち込む。しかし、いつもの様にパシッと捕まれる。
俺は最近、真剣に悩んでいた。ケンケンは実はサイボーグじゃないんだろうか。ケンケンはすごい。人間技じゃない。
「しょーた、無駄な事はやめとけ。」
「うぐぐぐ」
俺が、ケンケンに勝てる日は来るのだろうか……。
はぁ、と溜息をついて席に戻ると
「あーー!!」
俺の大声にケンケンがうるせぇと殴ったが気にしない。
「ケンケン!こいつ!俺の前で、入学式いなかった!!」
「お前の言葉を解説出来るのは俺だけだと思う。」
「おいっ、お前、なんで入学式来なかったんだよ?」
前の席の奴の前にまわりこむ。
「あーー!!いいなぁ!俺にも一個くれ!!」
なんと、前の席の奴は、高級そうな和菓子をむしゃむしゃと食べていた。しかも、あと7個もある。信じられない!いいなぁ~、俺和菓子好きなんだ。
すると、ごっくんと和菓子を飲み込んで、コッチをみた。
っ!?
なにこいつ、まさか!ケンケンとおんなじサイボーグ!?どうやったらここまで完璧な顔になれるの!?
「むっ、これが欲しいか?」
「うん!」
ぶんぶんと頭を何度も上下にふる。
「うむ、なら百円と交換だ。」
「えっ!?いいのか?そんな安くて。」
「あぁ、ちょうどガチャガチャがしたい気分なんだ。」
「わかるわかる!!俺も大好き!でも、俺ガチャポンって呼ぶ。」
初めて、同じ趣味の奴に出会えた。うれしーーな。
それから、いろんな話しをした。ここまで話しが通じる人は初めてですげくうれしかった。
「……ガキがふえた。」
ケンケンが何か言ったけど気にしない。俺、こいつと親友になれるかも。
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