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  4月2日。 それが僕の誕生日だった。 4月1日の夕暮れ頃、母は破水が起きて救急車で病院に運ばれ、それから強烈な苦痛が数時間も続いたということだ。 母が壮絶な苦痛を耐え抜いたからこそ、僕はここにいる。 あらためてそんな風に考えると、人前では言えないなと感じ、気恥ずかしさが込み上げるけれど、この感謝の辞に、余計な装飾や台詞回しは、きっと必要ないだろう。 4月2日 0時21分。 体重3082グラム。 僕は生まれた。  
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