プロローグ

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レンとティニーは"マスター部屋"の前で立ち止まり、軽くノックをして 「《セレスティアウィング》所属、レン・M・ブリッツゲイザー。受諾書の受け取りにきました」 「おなじく《セレスティアウィング》所属、デスティニー・ローラン」 二人は名乗ると、部屋から返事が返ってきた 「はいはい~。レン君は入って入って。あと、"デスティニー"って誰?」 「……ティニーです」 「あぁ、フェイトちゃんか、メンゴメンゴ。ささささ、入った入った~」 レンはドアノブに手をかける。 ソラリスの言葉にティニーは項垂れながらもレンについて行こうとして、レンの背中に顔をぶつけた。 ティニーは、部屋に入ろうとしないレンをポカスカ叩きながらレンに尋ねた。 「ちょっとレン。なんで入らないの?」 「あの、師匠。鍵がかかっているんですが」 そう。扉には鍵がかかっていて、レンは入れなかったのだ。 しかしソラリスは 「鍵? それくらい障害にならないでしょ?」 と言って、鍵を開く気配がない 二人は 『この程度もクリアできないようじゃ受諾書書く気にもならない』 とのソラリスの思惑を、言葉の端々に感じ取った。 「たしかにこの程度は出来ないとな」 「『翡翠の森』はもっと複雑な障害があるかもしれないしね。じゃレン。私は先に行くね」 「はいはい」 ティニーは腰に携帯している細身の長剣を抜き、手を当てて集中する。 切っ先の空気がブレて、魔力が集中していくのがわかる。 「【次元転移】」 ティニーは扉の前を切り裂くと、ティニー一人が通れるほどの大きさの空間が現れる。空間の向こう側は見えない。 恐らく、"マスター部屋"に通じているのだろう ティニーはそこに身を滑らせると空間が閉じた。 その直後に、ティニーの声が部屋から聞こえたのは言うまでもない
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