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プロローグ
今となっては昔の事だが。とある村に、二人の女性が住んでいたそうだ。
その二人は、自分を磨き上げ。互いに競い合う形で、日々を暮らしていたそうだ。
一人が物体を燃やす力をつければ、もう一人は、物体を凍結させる力を身につけ、
一人が死者の声を聞き、使役する術を身につければ、一人はその声の主を見つけ、還す術を身につけ、
二人は互いに好敵手と見なしていて、日々の鍛錬を欠かさなかった。
時には、同じ発見をし
時には、供に苦難に立ち向かい
時には、互いを褒め称え
その姿を観て、村人達は二人の事を『親友』と思っていました。
しかしそれは、ある出来事をきっかけに崩れてしまいました。
村で起こったひとつの事件。
それは、ひとりの村人がコツゼンと姿を消してしまった事から始まりました。
『二人の魔女がやったんだ!!』
この噂は瞬く間に広がり。
二人はとうとう、村から追い出されてしまいました。
そして国は、被害を増やさないとして二人を危険因子とみなし、懸賞金をかけてしまったのです。
一人は、この世界の法則に絶望し、
もう一人は、人間に失望してしまいました。
二人は賞金目当ての輩から逃げ続けて、あてもなくさ迷い続けました。
そして、思ったのです。
『新しい世界を作って、そこに住めばいい』
二人は小さな家を建て、日々研究に没頭しました。
来る日も来る日も、その日を夢見て。
しかしこの計画は、失敗してしまったのです。
なぜなら、その家が焼き払われてしまったのです。
彼女等を迫害し、追い出した村人によって。
彼女等が荒野で助けた旅人が、その村で話してしまったのです。
二人は、またしても、あの村人と国に迫害されてしまいました。
二人は、『なぜこんな仕打ちを受けなければならないのか』と嘆き、悲しみました。
旅人が駆けつけた時に見た光景は、互いに抱き合いながら泣いている二人の女性と、爛々と燃え盛る家屋でした。
旅人は絶望し、人間を憎みました。
それから旅人は、二人の女性の回りに身を置き、二人に近づく人間を殺し始めました。
それは、怒りからか。
それとも、二人への哀れみからなのか。
あまりの惨劇に、人間達はある行動を起こしました。
『魔女達を殺せ!!』
『あいつらは世界を滅ばすつもりだ!!』
『殺せ』『殺せ』『殺せ』
これが後に言う、"魔導蹂躙"の始まりになったのです
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