第11章 氷の洞窟

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―白の世界 氷の地下洞窟― 体が重い。腕も足も、鉛にでもなったかのように動かない。 目は開かず、自分でも分からないが閉じたままである。当然、目の前は真っ暗だ。分かる事といえば、自分がどこかの地面に大の字で倒れているということ。ただ、それだけ。 暗闇の中、必死に記憶を辿る。 確か、滝壺に落ちて流され、気が付いたら今の状況になっている。 ここまで来るのに、色々な夢を見た気がした。……とても心地良い夢を。 体は動かないが、このまま夢の記憶に浸っているのも悪くは無いとさえ、思えてくる。 だが、体は徐々に言う事を聞くようになる。温度と共に痛みもしっかりと感じてきた。 彼を、まるで現実に引き戻すかのように。 「て……、……き」 『誰なんだ?俺を呼ぶのは……しばらく眠らせてくれ』 「輝樹!」 その瞬間、輝樹が飛び起きた。周りを見渡すと、連夜達三人とリクが、輝樹を不安そうな顔で見つめていた。 「良かった~。輝樹が一番長い間気絶していたんだぞ」 「ああ。そしてここは多分、氷の洞窟の地下?だと思う。俺達はそこから流されてきたみたいだぜ」 祐樹が指差した先にある、ぽっかりと空いた先の見えない暗い洞窟から、澄んだ緑色の水が流れてきている。 その川の通路は、今四人がいるエリアのちょうど中央辺りで大きく丸を描いた行き止まりになっていた。 そこを取り囲むようにして、輝樹達は倒れていたのだった。 「そうか……でも、先へは進めたんだな」 「せやな。HPもあんま減ってへんし、良かったわ」 輝樹は体を起こし、連夜達とともに立ち上がる。 一同はひとまず安心するが、すぐに奥へ進む事にした。
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