第11章 氷の洞窟

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「この先も一本道らしいな……よし、気合入れていこうぜ」 四人は川の終着点のエリアを後にし、再び氷で覆われた洞窟の道へと足を踏み入れた。入った途端、上のエリアでも体験した肌寒さが到来する。 「やっぱ寒……」 「寒さも問題やけど、俺にとってはペンギン野郎がまた出てこない事を祈るばかりや」 連夜は身震いして苦笑いし、涼は先の戦闘を思い出したのかぶつぶつと文句を言っている。 「ところが、こういう気絶から覚めたばかりの不調なときに出会ったりするんだよな」 「祐樹……余計な事言うなや」 洞窟内は地下という事もあり、先程にも増して静まり返っている。 周囲には四人の会話する声と、氷を叩く足音しか聞こえない。 「ク~エ~」 「は……?」 突如聞こえた得体の知れない者の鳴き声に、涼は弾かれたように敏感に反応した。見ると、通路の奥から一際巨大な影が近付いてくる。 「まったく噂をすればなんとやら、だな。みんな、さっきの事もあるけど全力で戦えるか?」 「おう。まあ、肩慣らしだと思えばいいさ」 通路奥より姿を現したのは、上層でも出くわしたキラーペンギン。 だが、一つ違う点は一度戦ったものと比べるとケタ違いの大きさであった。 巨大、の一言に尽きる。 「これさ、どう見てもボスじゃねえ?」 巨大なペンギンは、輝樹達の数メートル前方で立ち止まったまま微動だにしない。目だけは真っ直ぐ輝樹達を見据え、後は事切れたかのように静止している。 輝樹はその相手を隅々まで観察し、腕組みをしながら答える。 「キラーペンギンの親玉って感じだな。この洞窟の最強ボスなのかは分からないけど」 『レベル180 キングキラーペンギン』 全員、唖然とした。
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