第12章 決意

3/19
378人が本棚に入れています
本棚に追加
/271ページ
「なんや。地震かいな?」 全員が何事かと辺りを見回す。 これまで何食わぬ顔で進んできたが、その表情は段々と青ざめていく。 「マズイぞ……みんな走れ!」 揺れはだんだん強くなる。前と後ろを交互に見渡すと、氷の壁にヒビが入り、氷柱が天上を離れていく。それらは重力に従って落ちゆくと同時に、粉々になる。 聖也を先頭に、輝樹達は全力疾走した。 このまま立ち往生していれば、やがては崩壊するであろう洞窟に下敷きにされるからだ。 「ちくしょー!やっぱりこの世界おかしくなっちまったのかぁ」 風などない洞窟内をまるで風を切るかのように走っている最中、所々で大きな氷の塊が壁を離れ、轟音とともに崩れ落ちる。 今はもう複雑な地形と化した通路を、辛くもかい潜っていく。 聖也や祐樹は前衛で迫りくる氷塊を切り崩し、連夜と涼は後方からの射撃により突破口を開く。一同は少しずつだが、確実に進んでいった。 「うまく走れねえ!もう揺れが半端ないぞ」 「さっさと脱出しないとな。そろそろやばそうだ」 空気までもが振動し、全員の行く手を阻む。そんなとき、より一層巨大な氷塊が前列の祐樹を襲う。 「んな……!どけえ!」 祐樹は地面を蹴り上げ、高くジャンプする。 更に空中で体をひねらせ、回し蹴りで氷塊を粉々に砕いた。 立て続けに迫る障害物を蹴散らしながら進んでいくと、途中で分岐点にさしかかった。道は四つに分かれていて、道路の交差点のようになっている。 「ど、どっちなんだ!?」
/271ページ

最初のコメントを投稿しよう!