第12章 決意

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グレースの入り口に辿り着いた輝樹達は、その門の大きさに圧倒されていた。 ここの門はこれまで見てきた街のそれとはサイズも作りも大きく違った。全面鉄製でつやを帯びており、より一層強固なものに見える。 今いる六人の周りは、行き交う商人や他のプレイヤーでごった返していた。 まだ街の入り口だというのにも関わらず、人混みの向こうから市場の活気付いた声がひっきりなしに聞こえてくる。 門の上には、派手に大きな文字でこう描かれていた。 『世界の中心都市 グレース』 街の奥には一際目立つ大きなタワーが立っており、そばに無数のビルが立ち並んでいる。外見からすると入口付近は城下町、街の奥は大都会といったなんとも不思議な外観をしていた。 「さ~て、まずはギルドに行こうぜ。一つ用事があるんだ」 「オーケーです」 人の波をかきわけ、前方にわずかに見える赤い屋根の建物を目指す。 建物は都会らしく、みな豪勢でどれが民家なのかも分からない程だ。 しばらく進んでいると、大きく『GUILD』と書かれた看板を掲げている建物に辿り着いた。 そう、ここが何を隠そう世界中のギルドの拠点『グレース本部』なのだ。 総本部だけあって、これまで見てきた各街のギルド本部とは外観からして格が違っていた。 「ここにギルドマスター……カイルさんがいるんだよな」 「カイルを知ってるのか?」 輝樹の呟きに、聖也は驚き混じりの言葉をあげた。 「はい、一回お世話になった事があります。このリクの卵もカイルさんに頂きました」 輝樹は自らの頭の上にいるリクを指差す。 リクは何が得意気なのか分からないが、とても誇らしげな表情をしている。 その理由は、次の紅の一言で明確になった。 「貴方達、カイルに相当気に入られたんだね。彼は本当に大事な物は、他人に託したりしないの。その龍の子の卵は、確か……ギルドの第一級秘宝として厳重に保管されてたって話よ」 輝樹達四人は紅の言葉に呆気にとられたが、同時に誇らしい気持ちにもなれた。 リクは輝樹の顔を覗き込んで、にっこりと笑っている。
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