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「そうだったか。実は、俺もカイルに用事があるんだ。いるといいんだけどな」
聖也はゆっくりと木で出来た扉を開ける。
軋む音が響き、予想を大きく上回ってくれるであろう内装と対面する。次の瞬間、目の前に天上二十メートル奥行き五十メートルはあるであろう巨大な一階ホールが現れ、輝樹達を出迎えた。
内部では、ギルドのメンバーや受付嬢が忙しそうに行き来している。
六人はカウンターに近付き、聖也が受付越しに声をかけた。
それに気付いた受付嬢は、ハッとして振り返り、慌てて笑顔を作る。
疲れているのか、多少ぎこちなくも温かみのある表情だった。
「ギルド『グレース本部』へようこそ!本日はどういったご用件ですか?」
「マスターのカイルに用事があるんだ。俺は聖也」
「聖也様ですね。少々お待ちください」
言い、受付嬢はそそくさとカウンター奥の扉へ消えていった。
残された六人はギルド本部内の豪華な造りに見とれ、天上を仰ぐ。
現実世界で例えるならば外国の大聖堂をイメージさせ、シンプルだがいたる所が深みのある構造になっていた。
一面ガラス張りの天井からは陽の光が降り注ぎ、一階ホールを輝かしく仕立てる。
そんなとき、先程の受付嬢が扉を開けて戻ってきた。カウンター越しに、六人に話しかける。
「お待たせしました。横にあるエレベーターで三階へ行ってください。ギルド長室で、カイル様がお待ちになっています」
女性は、左手で傍にあるエレベーターを示す。
そのまま促されるように六人はエレベーターに乗り込み、三階へと向かった。
「居るみたいだ。仕事の疲れで、机に突っ伏してなきゃいいけどな」
エレベーターはあっという間に三階に到着する。揃って出るなり、六人は赤いじゅうたんの敷かれた曲がりくねった廊下を速足で歩いた。
壁には、数々の綺麗な絵や写真が飾ってある。カイルは意外と芸術好きなのかもしれない。
あちこちに目を配りながら歩いていると、いつの間にかギルド長室の前に辿り着く。聖也は扉を軽くノックすると、返事も待たずに押し開けた。
部屋の中は綺麗に整備されていて、輝樹達が廊下でも見かけた風景写真や有名芸術家の絵画が何点か飾ってあった。
床も一面に赤いじゅうたんが敷かれており、まるで高級住宅の一室のようだ。
部屋の奥に木製の光った机があり、その上には様々な書類が綺麗に整頓されている。
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