第12章 決意

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カイルは、奥の椅子に腰かけていた。 「よう、お邪魔するぜ。今日は例の一件で来たんだが」 「ん?聖也か、久し振りだな。紅も相変わらず元気そうじゃないか」 「久し振り。頑張っているみたいね」 三人は互いに会釈し、会話を弾ませていた。 ふと、カイルが後から入ってきた輝樹達四人を見て、驚きの表情を見せた。 「おお!君達はクロックタウンで我々の作戦に協力してくれた冒険者じゃないか!元気そうで何よりだ」 輝樹達は笑顔と共に一礼し、カイルも未だに驚きの表情で四人を迎える。 「え……カイルが言っていたクロックタウンを救った冒険者って、輝樹達だったのか?」 「そうだったんだ。さすがね」 それからしばらく、それぞれの現状について会話し、聖也が氷の洞窟内での事を話した。輝樹達も、カイルに受け取った卵からリクが産まれた事をそのときの様子もふまえて報告した。 「なるほどな。そんな事があったのか。確かに今、この世界には何かしら様々な異変が起こっている。今回、聖也や紅に調べてもらった一件も例外ではない。現に私も、深刻な問題について調査している所だ」 「まあ、今回はその報告に来た訳なんだけどよ。頼まれた通り、色々な敵の個体数を調べてきたぜ。見てきた感じだと、やっぱり過去に比べて明らかに増加しているな。……そっちは何を調べているんだ?」 ただならぬ雰囲気を感じ取った聖也は、一言置いて尋ねてみた。 カイルは唇を噛み、腕組みをして語り始める。 「この頃、世界の各地でモンスターが異様な動きを見せているんだ。本来、単独で行動するはずのモンスターが群れで行動していたり、これまでプレイヤーを襲う事がなかった種の攻撃など。過去に無かった異例の事態が立て続けに発生している。更に、最近になってこれらの事態がより一層酷くなってきているんだ」
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