第12章 決意

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「それって……最近行われたゲーム仕様の変更と何らかの関係があるんでしょうか?」 「そうかもしれないな。私としては、例の『ミストポリス』が公共の場に晒されるようになった事が気になる。なにもメリットなど無いというのに」 尚も悩み続けるカイルを見て、輝樹は小声で紅に尋ねる。 「紅さん、カイルさんには俺達の考えを話しても大丈夫じゃないですか?」 「そう思いたいけど……カイルは私達と違って現実世界から来たプレイヤーじゃないの。決して信用していない訳じゃないんだけど、何らかのルートを通じて製作者に私達の事が知れたらと思って」 紅は伏し目がちに、カイルを見る。 端から見ても、紅や聖也がカイルと強い信頼関係にあるのは把握できる。 だからこそ現実世界とゲーム世界という壁が、このような事態では足枷となってまとわりつく。 「なるほど。でも、とても俺達だけじゃ。ギルドの力でも借りないと、この先かなり厳しいと俺は思います。敵は……そんなに貧弱じゃない筈なんです」 それを聞いた紅は、俯いて考え始める。そして少し間をおいて、頷いた。 「カイル……私達の話を聞いてくれる?おそらくゲームを作った本人は、この世界を潰すつもりよ」 それを聞いたカイルは、またしても驚きの表情になり、目を丸くして後ずさりした。信じられないと言うように。 「何だって!?そんな危機が迫っているのか」 「全ては、今回の仕様変更を見れば分かるはず。その内容と考えから行くと、世界が崩壊する理由が出来るの。一つも要因が欠ける事無く。そして、その先は」 「現実世界……か」
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