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その瞬間、ギルド長室の扉が勢いよく開いた。
何事かと振り返ると、一人の兵士が息を荒げて立っている。
「緊急事態です!ギルドの偵察部隊が、グレース草原の彼方に高レベルモンスターの大群を確認しました!真っ直ぐこちらに向かっているとの事です。
早急に兵を送り込みましたが……」
その場に居合わせた六人が、突然の出来事に唖然としている。耳に飛び込んできた兵士の言葉も、すぐには理解出来なかった。
カイルは焦りと不安の入り混じった表情をして、立ち上がる。
「戦況は?」
「偵察部隊、全滅です……敵は、数十万の大群との事です!」
カイルや六人の顔はみるみる内に青ざめていき、この状況にどんな対応が正しいのかも、簡単には見つけ出せずにいた。
「なんだと!他の地域はどうなっているんだ?」
「モンスターの気配、ゼロです。察するに、敵軍は総勢でこの街を襲撃するつもりです!」
強大な軍力を誇るモンスター大群の出現に、カイルは拳を握りしめ、顔を歪める。更に、その数秒後に廊下を走ってくる音が聞こえた。見ると兵士がもう一人、慌てた表情で現れた。
「報告します!モンスターの軍団を率いる謎の人物が存在するとの事です!その者は漆黒のコートをまとい、青い龍に乗っているようです」
「七瀬だ!」
「何だってえ!?やっぱり敵になっちまったのか」
先程まで通常の会話をしていた部屋は一変、慌ただしさと緊張の空気が支配する場となってしまった。
「く……至急、各街の本部に連絡して警戒を促せ!まだ時間はあるはず。グレース本部に、ギルドの全兵士を集めるんだ。各地のプレイヤーにも呼びかけろ。この街、そして地下のミストポリスが落とされたら、この世界は終わりだ!」
「承知しました!」
二人の兵士は、慌ただしく部屋を出て行った。
後には、静まり返った部屋に青ざめた表情をする七人が残された。
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