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「っ置いてかないで!」
空気だけを掴んだ手が目の前に広がった
「……夢」
今のが夢で、今が現実…か
ココの部屋、それにこの和服 どう見ても日本
あれ、日本ってなんでわかったんだろ…
だったら私がわかってもいいのに
考え事をしていたら襖の向こうから聞き覚えがある声が聞こえた
「失礼する…目覚められたか
良かった」
この人、知ってる
「………」
何故か私は布団を握りしめた
男の人は苦虫を潰したような顔して大きな声で喋りだした
「女子に向かいての乱暴…某なんと詫びていいか
あの戦場、お主のようなか弱き女子だが敵か見方かと区別がつかずに刃を向けてしまった
申し訳ない」
「い、いえ、別に…」
内心はっきり言ってしまえば殺して欲しい
「そうであった 某の名は真田幸村と申す」
真田、幸村? 随分変な名前だ
「お主の名は」
ニコリと笑って私をみたが答えたいが答えられない
その時、男の人の肩に埃がのっかているのに気づいた
「あの、肩に埃が…」
肩に手が触れそうになった刹那
私の視界は反転し畳の上へ頭を押し付けられ、両手をあり得ない方向へと曲げられる
「っ!い、いだい!痛い!!離して!手は、手だけは止めて!!」
「止めよ佐助!」
「何をしようとした」
冷徹で低く唸る声が私に問うた
「か、肩にゴミが乗ってたからそれを取ろうとし、て…」
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