からかさお化け

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私は行く宛てもなく、ご主人を探しに向かった。ちなみに今は夜、人間達を驚かせるにも適している。でも、今はご主人が先… 「…お腹空いた…」 さっきの野犬の心が、私の空腹を催促していた。どうしよう… 「暗いなー…」 するとちょうどそこに人間が歩いてくる。どうする私、人間を驚かせるか、ご主人を探しに行くか……やっぱり、腹が減っては戦は出来ぬと言うし、捨てられた物達の事を思い出すと、人間を驚かせる事を優先した。 「う~ら~め~し~や~…」 「ひゃあ!?」 良かった、驚いてくれた…あなたの驚いた心、ごちそうさまでした。でも、この人間…完全に腰抜けちゃってる…何か私悪い事した気分… 「あ、あの…あなたは……」 そんな震えた声をしないで!私がますます悪い事したみたいになっちゃうから! 「私はからかさお化け。人を驚かせる事を生きがいにしているの」 「からかさお化け…妖怪!?」 そんなに驚かれるとかえって複雑な気分… 「うん、まあそうなんだけど…私は人間が驚いた時の心を食べるだけだから別にあなたを食べようって訳じゃあ…」 「良かったぁ…」 …あれ、何か方向性が違ってきてるような…そうだ、私は何のために人間達を驚かせているんだ。捨てられた物達の代わりに人間達を懲らしめるためだ。 「一つ質問をするけど、あなたは道具は大事にする方?」 「え?…もちろん、大事にするけど…どうして?」 しまった…この人は驚かせるべき人間ではなかった。でも、他の人間達が物を最後まで使うようにさせるためには、ちょうど良い。
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