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「なら、あなたにお願いがあるの」
「お願い…?」
「そう、物を勝手に捨て、その上理不尽に壊す心ない人間達に伝えてほしいの。そんな事をしていると、からかさお化けがお前の心を食べに来るぞと」
まあ…使える物を捨てるのを辞めた所で私と捨てられた物達の心は晴れないから驚かせるつもりだけどね。
「わ、分かった。そう伝えれば良いのね?」
「そう。私のような…妖怪をこれ以上生まないためにも…」
これは、私の願いでもあった。私のような思いを持って生まれた妖怪は、これ以上増やしたくない。それは私だけで充分。
「あなた、優しいのね」
「!?」
私が…優しい?だって私は妖怪で、ついさっきあなたを驚かせたばかりで…
「じゃあ、ちゃんと伝えておくわ、心優しいからかさお化けさん」
「あ…待って…」
行っちゃった…私が優しい理由を聞かせてほしかった…いや、今はそんな事考えている暇はない。ご主人を探しに行かなくちゃ。きっとまだ私を探してくれている。ごめんね、皆。人間達を懲らしめるのは、もう少し後になりそう。
私は夜通しで、ご主人を探した。でも、見付かるはずがない。まず夜だから起きているはずがない。私は適当な木を見付けて、そこへもたれかかって眠った。
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