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「ん…」
朝、雨が降る音と共に私は目を覚ました。偶然にも、傘がさしてあったので濡れる事はなかった。
「ご主人…今頃私がいなくて困ってるだろうなぁ…」
私は傘のないご主人を憂いた。私は立ち上がり、ご主人を探しに歩きはじめた。
雨は強くなるばかりで、やむ気配はなかった。いつもなら雨の日は嬉しいのだけど、今日は違う。傘をさしているのは、自分自身なのだから。
「はぁ…」
私はご主人に会えない悲しさと空腹と、人間達を懲らしめる事が出来ないのにため息をつく。
「ここが何処か分かれば、ご主人に会いに行けるのに…」
私はそう呟きながら歩く。すると、見覚えのある店を見付けた。
「ここは…」
そう、私がご主人の所から無くなってしまう前に居た、あの店だった。もしかしたら今、中に居るかもしれないと、店の中を覗いてみる。
「居ない…」
ご主人は、そこには居なかった。という事は、まだご主人は家に居るのかもしれない。そうとなれば…
「…行ってみるしかない!」
私は空腹と捨てられた物達の気持ちを一旦押さえ込み、ご主人の家へ足を運ぶ事にした。
どれだけ歩いただろうか、既にお昼頃になり、お腹の減りもピークを迎えた頃、私はとうとう、ご主人の家へとたどり着く事が出来た。
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