置き去りにされた傘

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…ご主人がこの店に来て、しばらくが経った。ご主人はまだ出て来ていないみたい。まだかなぁ… 私はご主人の帰りをただじっと待っていた。でも、ご主人は一向に出て来ない。すると、店の中から何やら聞き覚えのある声がした。 「おー、晴れてる晴れてる」 この声はご主人だ。ようやく出て来るみたい。 「さてと、帰りますか」 ご主人が私を手に取ろうとした時だった。 「あ、しまった店の中に忘れ物した」 …ご主人は私を傘立てに戻してまた中に入っていってしまった。また私は待ちぼうけ…傘だから本当はそんな事ないんだけど、何か眠くなってきちゃったな… ……あれ?気が付くと周りが暗かった。しかも、場所は店の傘立てだ。 もしかして…私置いてかれた?いや、そんな事は… しばらくして、また雨が降った。この雨で、ご主人が私を置いていった事に気付いてくれるかな… 「うわ、雨降ってんじゃん!…ちょうどここに傘が一本差さってるな…仕方ない、少し借りますよっと」 え!?ちょっと…私はここに居ないといけないのに…私はどうする事も出来るはずがなく、ただ私を取った人に着いていくしかなかった。 「しまった、傘を忘れていた…あれ、傘が無くなっている…」
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