16人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
荒野と呼ぶに相応しい、荒れた赤土の大地が広がっている。
風が吹けば土が舞い上がり、視界を遮る。
「まったく!」
そこに似つかわしくない人物がいた。前髪が瞳を隠し、その表情は読み取れない。
「どうしてこんな所で戦うんデスか!?」
服が砂だらけになるとぼやきながら、彼女は歩く。外見をみれば少女のようだが、放つ気配は幼子のものではなかった。
「後片付けをする身にもなって欲しいデス。」
ブツブツと文句を言いながらも、歩みは止まらない。
「おや?あれデスね!」
遠くに、見覚えのある武器を見つけ、足元にある岩を避けながら近づく。目的の場所にたどり着き、彼女はまず、辺りを見渡す。
「シーンさんの武器、核一つ、誰かの武器っと…。血は…渇いたら風が処理してくれマスね。」
今回は大掛かりな処理をしなくても済みそうだ…と彼女は息を吐く。
「しかし…折角の核を放置するなんて、意味が解らないデスね…」
膝を折り、地面に転がるソレに手を伸ばした。
「貰っちゃいマスよ。」
――…その時だった。
最初のコメントを投稿しよう!