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 チャイムと同時に扉が開く音がした。  「きりーつ」  学級委員の声に機械的に体が動く。  意識はほとんどなくて、ただぼんやりと、従うだけ。  担任が転校生を紹介する声が遠くに聞こえた。    七瀬はようやく顔を前に向ける。そこに居たのは黒味がかった金の髪を持つ中性的な少年だった。  「相川要です。どうかよろしく」    彼女はその背に灰色の翼を見た気が、した。  要は一日でクラスに馴染んでいた。クラスメイトが彼を囲み、楽しそうな会話が一日中聞こえてくる。  「……」    隣であるから余計に自分との差が際立つような気がして七瀬は息を吐く。呼吸がしにくくて仕方がない。  放課後になった瞬間、逃げるように鞄を掴んで教室を出る。逃げ出したくて仕方がない。    クラスメイトと話したら何か変わるのかも知れないと思う。けれど、記憶がうごめいてそれを拒絶する。淋しくても話してはいけない。誰かと関わることが、怖い。  納得したつもりでも、胸の奥で衝動が沸き起こる。偶然だといえばなにか変わるのではないかと期待してしまう。その希望はとうになくなっていると、知ってはいても。    「築城さん」    だから自分を呼ぶ声に気がついたのは学校を出てからだった。我に返り振り返るとそこには転校生の彼が居た。
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