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-高校3年・夏-
それはあまりにも突然だった。
なんの前触れもなく、
突然、だった。
「彼女、出来たんです。」
音もたてないまま、ふっと引き裂かれたのは"心の糸"。
つなぎ止めていた"心の糸"。
それが、いとも簡単に切れた。
「そっかぁー、おめでとう!凄いじゃん、広!誰々!?」
「…A組の、松田。松田唯」
なのに心は馬鹿みたいに冷静で、
口から出てくる言葉も、
ニコッて笑えてる顔も、
涙だって溢れてこなかった。
なんでか。
簡単なこと、これが当たり前だから。
これが、この世界の"善"だから。
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