~第一章~

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しかし行動に制限が大きくかかる。何年間かはパスポートや免許証などが取得できない。人権でいうと自由の権利の一部を剥奪されるのだ。人権とは人間が生まれた瞬間から誰もが持つものであり、その一部が無くなるというのは社会から人間として認めてもらえないのと同じではないだろうか?  それは言いすぎだとしても近い事には違いない。  たった5分の出来事で、信司の人生は終わってしまったのだ。  誰かに知られてしまったら・・・・・  はっとして辺りを見渡してみたが、もう日は落ちてしまっており真っ暗で、人は見当たらずもうここを通る人も居ないだろう。足元に転がっている顔の潰れた男は町の嫌われ者である。家族も、家もなく居なくなっても探す者は誰一人いない。   遺体を隠そう  これを無かった事にするんだ。誰も見ていない、男が行方不明になっても誰も探さない。この遺体さえなければ殺人の罪は誰にも問われないのだ。  罪悪感、後悔、恐れ、この瞬間には信司にはそれらが一切なかった。遺体を隠す、その事にさえ集中すれば全て誰にもばれないのだから。
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