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私は町へ戻った。
桶を持って歩いていると、
「アーシェちゃん、結婚してくれ!」
横から声をかけられた。
内容はあまりにも急展開すぎる小学生レベルのもの。
「無理です!」
私ははっきりと言った。
(…また?)
毎日こう言われているのでそろそろ諦めて欲しいものだ。
「じゃあ、せめて夜の営みだけでも……」
「……っ!変態!」
私は顔を赤らめ、桶の水をその変態にぶちまけた。
(何処が『せめて』よ!)
私は走って逃げ出した。
(また、水汲んでこなくちゃ…)
水を使ったことは少し後悔した。
「ああいう所もまた可愛い…」
水びたしの男は嬉しそうに笑みを浮かべていた。
あぁ~、気持ち悪い!
「ただ今戻りました」
「あぁ、アーシェちゃん、おかえり」
おばさんは空の桶を持っている私を見て、
「また何かされたのかい?」
優しい笑顔を投げ掛けてきた。
「いえ、いつものことです。
それよりも水を途中でこぼしてしまったので……」
私は申し訳なさそうに俯いた。
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