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おばさんは笑顔で首を振る。
「いいんですよ。
また、汲みにいけば済むんだから。
それに、アーシェちゃんはべっぴんさん何だからしかたないわ」
何もかもお見通しだったようだ。
(バレちゃったか)
私はいたずらっぽく笑った。
その時だった。
ドドドドッドドドドッ!
重い機械音が響いた。
「何かしら。
大きな工事かしらねぇ?」
おばさんは珍しいとばかりに首を傾げている。
(そんな訳ないわ!)
私は嫌な予感がした。
この小さな町にあんな音を出す重機は存在しない。
そして、聞いた噂によると隣町との連絡がつい最近途絶えたという。
(まさか!?)
私は走り出した。
「アーシェちゃん?」
おばさんが心配そうに名前を呼んだが、私には届かない。
長いしなやかな髪をなびかせて私は走った。
ふと上を見ると、どす黒い煙が一直線に上がっていた。
「キャー!」
「うわぁー!」
「ぎゃー!」
町の中心部に着くとそこは人でごった返していた。
人々が流れ込んで来るのは南北から。
おそらく、そこから敵が侵入して来ている。
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