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「アーシェ……ちゃん……」
「おばさん!」
私は町から少し離れているあの井戸に来ていた。
おばさんと数人の人が座り込んでいる。
「おばさん、無事だったのね!
………!
おばさん、血が…」
肩からドクドクと血が流れていた。
地面が赤く染まるほど流れ出ている。
「…大丈夫…よ。
安…心………し………」
バタッ!
「おばさん!」
私は泣き叫んだ。
「おばさん!死んじゃいや」
おばさんは倒れ、虚ろな目を開きながら、私の手を握った……いや、触るのが限界だった。
「…最…後にアーシェ…ちゃんの………顔が…見れて…よかった…わ」
「何を言って……!?」
「ゲホッ!ゲホッ!
アーシェ…ちゃん…生きて……幸せに…なって」
腕が力無く地面に落ちた。
「おばさぁぁぁん!!
いやぁぁぁぁぁあぁぁ!!」
私の顔は涙でぐちゃぐちゃだった。
『そんな顔していたら、せっかくの綺麗な顔が台なしですよ』
(ううっうっ……)
そんな声が聞こえた気がした。
「うわぁぁぁぁあぁ!!」
私はその後、子供ように泣きじゃくり、取り留めなく涙を流した。
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